飯伊森林組合が参加する南信州森林認証協議会が森林認証「SGEC」を取得しました
飯伊森林組合、下伊那郡天龍村、売木村、飯田市上郷野底山財産区が南信州森林認証協議会を組織してSGEC(緑の循環認証会議)という森林認証を取得しました。この山から生産される材木はCoCを取得している飯伊森林組合木材流通センターで加工されると「認証材」として消費者へ販売されます。マークの下の数字により、生産地や加工された工場が特定できます。
南信州森林認証協議会では、今後認証材の普及に努めたいと考えています。
森林認証とはどのようなものですか?
森林認証は独立した第三者の審査機関が一定の基準等を基に適切な森林経営や持続可能な森林経営が行われている森林及び経営組織などを認証して、それらの森林から生産された木材・木材製品にラベルを貼り付けることにより、消費者の選択的な購買を通じて生物多様性の保全や持続可能な森林経営を支援する取り組みであります。
とくにラベリングされた木材・木材製品の加工・流通に関しては加工・流通を行う者が、消費者の手元に届くまでの各段階において認証木材・木材製品とそれ以外のものとは区別して取り扱う体制になっていることが認定の際の要件となっています(Chain of Custody 認証:CoC 認証)
森林認証が生まれた背景とはどのようなものですか?
1970 年代から 80 年代にかけて熱帯林の減少が世界的な問題となりました。ヨーロッパでは環境保護団体が中心となり熱帯材の不買運動を行いましたが、これらの中から持続可能と見なせるものについてはラベルが付されることとなりました。しかしながらこれらに便乗してラベリング商法が氾濫し、このままでは十分ではないのではとの世論となり、本格的な認証制度が求められることとなりました。
1992 年、ブラジルで地球環境サミット(国連環境開発会議(UNCED)が開催され21世紀に向けてAGENDA21と森林原則声明が採択され世界 各国が、持続可能な森林経営と生物多様性の保全に取り組むことが確認 されました。これによって具体的な森林基準の検討が開始されることとなり現在までに世界で9つの主要な取組が並行して進められております。主なものとして国際熱帯木材機関(ITTO)加盟の熱帯木材生産国による「ITTO 基準・指標」、欧州の温帯林等諸国による「汎欧州プロセス」、我が国を含む欧州以外の温帯林等諸国による「モントリオール・プロセス」等があります。モントリオール・プロセスについては 1995 年に持続可能な森林経営の 基準・指標として 7 基準・67 指標が決定され、2008 年の改訂を経て、7 基準・54 指標となっています。
モントリオール・プロセスの基準・指標 (7 基準 54 指標)
基準 1
生物多様性の保全(9 指標)
(生態系タイプ毎の森林面積、森林に分布する自生種の数等)
基準 2
森林生態系の生産力の維持 (5 指標)
(木材生産に利用可能な森林の面積や蓄積、植林面積等)
基準 3
森林生態系の健全性と活力の維持 (2 指標)
(通常の範囲を超えて病虫害・森林火災等の影響を受けた森林の面積等)
基準 4
土壌及び水資源の保全・維持 (5 指標)
(土壌や水資源の保全を目的に指定や管理がなされている森林の面積等)
基準 5
地球的炭素循環への寄与 (3 指標)
(森林生態系の炭素蓄積量、その動態変化等)
基準 6
長期的・多面的な社会・経済的便益の維持増進 (20 指標)
(林産物のリサイクルの比率、森林への投資額等)
基準 7
法的・制度的・経済的な枠組 (10 指標)
(法律や政策的な枠組、分野横断的な調整、モニタリングや評価の能力等)
世界にはどんな森林認証制度がありますか?
本格的な森林認証制度として世界自然保護基金(WWF)やグリーンピースが中心となった森林管理協議会(FSC)が 1993 年に設立され全世界で展開しています。汎ヨーロッパ森林認証制度(PEFC)は 1999 年に設立され近年、アメリカ、カナダ等も参加しています。
FSC
(Forest Stewardship Council)
WWF(世界自然保護基金)を中心として FSC が発足(1993年)。世界的規模で森林認証を実施。本部はドイツのボン
10の原則と70の基準に基づき独立した認証機関が認証審査を実施。国別、地域別基準の設定が可能
PEFC
(Programme for the Endorsement of
Forest Certification schemes)
ヨーロッパ11カ国の認証組織が Pan European Forest Certification を設立(1999 年)。汎欧州プロセス等の基準・指標に基づく各国独自の認証制度を認証する仕組。現在36の認証が加盟しそのうち31の認証制度が相互承認を取得。 2003 年、アメリカ、カナダが参加したことから現在の Programme for the
Endorsement of Forest Certification Schemes に改称。本部はジュネーブ
森林は 34 ヶ国で面積は 267,051,086 ha
(うち日本はなし ※相互承認していないため)
CoC 認証は、66 ヶ国で 10,702 件 うち日本は 191 件
(認証件数は 2015年 11月時点)
SGEC
(Sustainable Green Ecosystem Council)
我国の林業団体、環境 NGO 等により発足(2003 年)。人工林のウェイトが高いことや零細な森林所有者が多いこと等我が国の実情に応じた制度を創設。本部は東京
PEFC との相互承認を進めている。(成立 2016 年見込)認証森林は、1,261,159.63 ha
CoC 管理事業体の認定は 350 件(認証件数は 2015 年 12 月時点)
緑の循環認証会議(SGEC)の森林認証とはどのようなものですか?
緑の循環認証会議は我が国にふさわしい森林認証制度を創設するため森林・林業のみならず経済・産業、消費、自然環境など広範な方面の方々が参集して 2003 年に設立された組織です。SGEC 本部は SGEC の規程、規則を制定するとともにモントリオール・プロセスに準拠したわが国の森林経営の現状に即した SGEC 森林認証基準を制定しています。また審査機関の認定を行うとともに審査機関が審査して決定した森林認証や事業体認定の監査を行い、それに基づき認証書の発行を行っております。
審査機関としては(一社)日本森林技術協会、(一社)全国林業改良普及協会、(財)林業経済研究所、(財)日本住宅・木材技術センター、(一財)日本ガス機器検査協会、SGSジャパンの6機関が認定されています。
これら審査機関は SGEC 森林認証基準などに基づき、次の事項を行っています。
(ア) 生物の多様性の保全と持続可能な森林経営を行っている森林管理の認証
(イ) 産出される認証生産物の加工・流通過程を管理する CoC の認証
SGEC ロゴマークの付いた認証生産物が市場にならぶことで消費者が認証生産物を選択して購入することが可能となります。
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